Davis, Andrew Jackson
アンドリュー・ジャクソン・デーヴィス
(1826-1910)

☆ 米国の心霊主義者にして田舎預言者。
 スウェーデンボリの影響を強く受けた思想を展開して後の米国心霊術界に奇妙な足跡を刻む。

 1826年、ニューヨーク州の片田舎にて出生。青年時代にメスメリズムに興味を抱き、その種の実験を通して霊的に開眼する。やがて心霊治療を行うようになるが、それが一風変わったもので、デーヴィスはトランス状態で患者を診断し、妙ちくりんな薬を処方するのであった。いわばエドガー・ケイシーの先駆者のようなものである。

 デーヴィスはかの「ロチェスター・ラッピング」で米国に心霊術の嵐が吹き荒れる二年前から一連の霊界文書の口述を開始しており、後に霊界構造論の権威となっている。彼が語る霊界はスウェーデンボリのものによく類似しており、現代ならばパクリの一言で片付けられたであろうが、当時にあってはそれこそ真理の証明に他ならなかった。なにせ、当のスウェーデンボリご自身がデーヴィスを訪問してこれらの情報を与えたというのであるから、似ていて当たり前だったのである。

 デーヴィスがスウェーデンボリから与えられた使命はもう一つ、社会改革によって霊的富の再分配を予言することにあり、その理想的モデルとしての霊界構造論が用いられることになった。
 以後、デーヴィスは心霊術関係に積極的に働きかけ、かなりの数の信奉者を獲得している。魔術史的見地からいって、もっとも重視されるのはトマス・レイク・ハリスがデーヴィスに傾倒していることである。

 米国に於けるスウェーデンボリ影響の流れを追う際に、デーヴィスは見逃せない人間である。

主要著作 The Principles of Nature, S.S.Lyon and Wm.Fishbough, New York, 1847.
The Penetralia; Being Harmonial Answers to Important Questions, Bela Marsh, Boston, 1856.
The Magic Staff: An Autobiography of Andrew Jackson Davis, J.S.Brown & Co, New York, 1857.
The Philosophy of Death, J.Bruns, London, 1868.
The Harmonial Man, Banner of Light Publishing Co., Boston, 1874.
The Genesis and Ethics of Conjungal Love, A.J.Davis Publishing House, New York, 1874.

参考文献


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