Gowdie,Isobel
イゾベル・ゴーディー
(c.1625-1662?)

魔女名 Janet


☆ 17世紀スコットランドの魔女。突然官憲のもとに出頭してきて、拷問なしに魔女術の実態について供述を行った希有の魔女として注目を集めている。

 1662年4月13日から5月27日にかけて、イゾベルが行った4回の供述によれば、彼女は1647年にオルダーンの教会で悪魔に出会い、契約を結んで魔女となり、魔女流洗礼を受けてジャネットという魔女名を貰ったという。
 以後、悪魔をリーダーとする13人編成の魔女集団の一員となって夜毎に家を抜け出しては悪事を働き、スコットランドの闇を跳梁している。イゾベルの魔女的世界は妖精の女王や小人が遊び回る夢幻の領域でもあり、信じられないような話ばかりが続くのである。イゾベルは兎に変身し、棒にまたがり呪文を唱えて空を飛ぶ。妖精に作ってもらった石鏃を指で弾いて道行く罪人を撃ち殺すのである。
 以上のような内容を官憲に告白して、その後彼女がどうなったのか、なんと記録が残っていない。火刑に処せられたという説もあるが、逃げたという説もある。
 イゾベルが何の目的で自発的告白を行ったのか、真相は謎である。ともあれ魔女狩りの歴史を通じて、これほど詳細な供述が拷問なしで得られたことはなく、魔女狩り史の研究家たちを悩ませている。

 彼女の告白は裁判記録という公文書として現存している。

主要著作
参考文献 Seth, Ronald: In The Name of Devil, Great Scottish Witchcraft Cases, Jarrods, London, 1969.
Macmillan, J.: Confession of Isobel Gowdie, Boosely and Hawkes.


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