Paracelsus [Aureolus Philippus Theophrastus Bombastus von Hohenheim]
パラケルスス
本名 アウレオルス・フィリップス・テオフラストス・ボンバストス・フォン・ホーヘンハイム
(1493ー1541)


☆ ルネサンス期のスイス人医師。錬金術師。後にバーゼル大学教授。

 1493年、チューリヒ近郊にて医師を父親に出生。バーゼル大学とイタリーのフェラーラ大学で医学を学び、続いてヨーロッパ諸国を遍歴。主に鉱物から抽出する薬物の研究を行う。様々な患者と症例に接することで医師としての経験を積み、この時期に近代外科医学の父と呼ばれるパレに出会って影響を受ける。パラケルススという名前は後年採用されたもので、古代ローマの名医ケルススを越える(パラ)存在という意味を有していると言われる。
 1524年には母校バーゼル大学の医学教授に任命され、それまでの医学を完全否定して物議をかもし、医学用語からアラビア語を追放するなどして先輩同僚の恨みを買う。
 パラケルススは何事につけても喧嘩腰になる性格の所有者であったため、無数の敵を作ってしまい、すぐにバーゼル大学を追われている。以後、各地を放浪しながら著作と医療に専念し、1541年、ザルツブルグにて客死している。

 隠秘学に於けるパラケルススの功績は、それまで黄金生成を主眼としていた錬金術に生命科学としての意義を持たせたことにあり、また、「大宇宙小宇宙相互対応論」を占星術経由で医学に結び付けた点にある。
 実像のパラケルススは天才的医学者であったが、後年の放浪時代の伝説が伝説を生み、魔術師としての評判も高くなっている。彼の没後、その名声に乗って多くの魔術的偽書が彼名義で出版され、いよいよ魔術師扱いされることとなった。

主要著作 Hermetic and Alchemical Writings of Paracelsus, A.E.Waite(ed.), Eng.tr. not mentioned, James Elliott and Co., London, 1894. : University Books, New York, 1967.
The Archdoxes of Magic, Eng.tr. Robert Turner, London, 1656.: Askin, London, 1975.(偽書の可能性大)

参考文献 大橋博司『パラケルススの生涯と思想』思索社、1975年。  
種村季弘『パラケルススの生涯』青土社、1976年。


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