Wirth, Oswald
オズワルド・ウィルト
(1860-1943)


☆ スイスの隠秘学者、タロット研究家。

 1860年8月5日、スイスのブリエンツァー湖畔にて出生。父は画家、母はカトリック。学業は優秀なほうであったが実家の経済的困難のために進学はならず、19歳にして渡英し、ロンドンの会計士として身を立てる。しかし地味な帳簿仕事は性に合わず、22歳にして仏国陸軍に志願入隊。1886年の除隊後は磁気治療士を名乗るようになっていた。
 ウィルトのオカルト志向は少年期より顕著であり、13歳にしてメスメリズムに興味を抱いている。長じては神智学とフリーメーソンリーにのめりこみ、1887年にはスタニスラス・ド・ガイタ侯爵の知遇を得るに至った。ウィルトは侯爵の秘書となり、翌1888年の薔薇十字カバラ団の創立にも参加、いっぱしのオカルティストとして斯界にデビューを飾っている。
 ウィルトは父の画才を受け継いだと見え、1889年にはド・ガイタの指導の下でマルセイユ版をレヴィ/魔術的に修正したタロット22枚を作成している。このタロットは独立パックとして350セット限定販売される一方、パピュスの『ボヘミアン・タロット』の挿絵にも使用された。

 1896年のド・ガイタの死去に伴い、ウィルトは新たな職を求めて植民省図書館の司書として就職。地道に生活する一方フリーメーソンリー関連の研究に没頭する。ぼつぼつとタロット関連の発表を行いつつ1927年に定年退官。
 1943年3月9日、ウィーンにて死去。

主要著作 Le Tarot, des Imagier du Moyen Age, Emile Nourry, Paris, 1927.: Eng tr. as The Tarot of the Magicians, Samuel Weiser, New York, 1985.
Stanislas de Guaita, souvenirs de son secretaire, Editions de Symbolisme, Paris, 1935.


参考文献 Decker, Ronald and Dummett, Michael, A History of the Occult Tarot, Duckworth, London, 2002.


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