名称 : 魔術師

称号 : 力の術士

配属 : ベス

惑星 : 水星

位置 : ケテル − ビナー

色彩 : 黄色





☆ そもそもオカルト関係者は、「われわれの言う魔術とは奇術のことではない」と力説してやまないのであります。そういう信念をお持ちの方々にとって、いささか都合の悪いカードでしょうな、この「魔術師」は。

 なにせ「魔術師」という表記のほかに、「ジャグラー」と称されることも多いわけでして、こうなると手品師、奇術師としかいいようがない。伝統的なタロット図案においても、小さなテーブルの上に各種小道具を置いて、妙な服装にあやしげな手つきの男なのですな。

 小生の考えでは、かつて村落共同体の中心であった呪術師・まじない師が、時代とともに凋落していくのであります。アーサー王の御世に活躍した宮廷魔術師たちは、リア王の治世には宮廷道化師と化しており、リチャード獅子心王の時代には流しの芸人として民営化しておるのです。

 現代のステージ・マジシャンにも、かつて呪術師だった頃の遺伝形質が見てとれます。あらぬかたから花を咲かせることこそ、農耕祭儀の大目標である「順調な開花」の名残でしょう。指先から燃えあがる炎、いくらでも水がでてくる瓶、増殖する赤玉と白玉、宙に舞う紙ふぶき、すなわち四元素を自在に操ることの象徴なり。さらに突如として登場するハトは、魔術師が神々のメッセンジャーであることのあかしなり。

 1.3DF改の魔術師は、黄金の夜明け流の元素象徴をジャグリングする姿で描かれております。粗末なテーブルにはそれらしき印形が刻まれ、両サイドには花らしきものが飾られます。テーブル上にはこれまた玩具のような剣が一口。

 いんちき芸人が魔法使いのふりをしているのか、魔法使いがいんちき芸人に身をやつしているのか。はたして真相は藪の中なのです。

 カードの意味としては、「伝達」、「意志」。これが基本。状況によっては「操作」、「どのみち長続きしないであろうやりくり」。逆位置を採用するのであれば、「伝達がうまくいかない」とか「意志が弱い」といった風に改変する。


カードの意味 : 伝達、意志、やる気、発意、発起。

カードの意味 : 操作、手先、指先、ごまかし、芸人、ジャグリング、染之助染太郎、大道芸人、ストリートパフォーマー。

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