Wallis Budge, E[rnest]. A[lfred]
E.A. ウォリス・バッジ
(1857-1934)


☆ 英国のエジプト学者、東洋学者、言語学者。大英博物館エジプト考古学部主任。19世紀のエジプト系魔術知識の源泉。

1857年、コーンウォールにて出生。貧しい家庭の私生児であったため、満足な教育を得られぬまま12歳で書籍と文房具を扱う店の小僧になる。言語や考古学方面への関心はすでに芽生えており、余暇にはヘブライ語やシリア語を学ぶ。15歳頃から大英博物館に出入りするようになり、考古学研究室等で雑用をこなしつつ研鑽を積む。その努力が認められて後援者もつくようになり、1878年にはケンブリッジに入学。1883年までヘブライ語、シリア語、エチオピア語等を学ぶ。

1883年、大英博物館エジプト考古学部に助手として勤務。1886年頃からロンドンと中東を結ぶ盗掘品密売ルートを調査し、また盗掘品の買収を行う。結果として大英博物館は世界最高のエジプト発掘品コレクションを構築することになるが、現代ではその手法が疑問視されている。

1891年、考古学主任補佐に昇進。1894年に主任となり、以降1924年までその地位にとどまる。この間、多数の執筆活動を通じてエジプト考古学への世間的関心を集める。

1920年、考古学への貢献が認められて叙勲。1924年、大英博物館から退任。1934年11月23日、死去。

ウォリス・バッジはオカルト方面への関心も高く、友人知己にオカルト関係者が多い。代表的なところとしてはライダー・ハガードがあげられる。一時期、黄金の夜明け団のメンバーであるとまで言われていたが、メンバーシップは確認されていない。かれが著わした古代エジプト関連の書物は19世紀末から20世紀初頭にあっては権威書と見なされており、ゆえに黄金の夜明け団等の魔術結社でもそのまま引用されることが多かった。現代ではウォリス・バッジの翻訳や解釈は誤りの塊とされている。



主要著作 The Mummy: A Handbook of Egyptian Funerary Archeology. Cambridge University Press, Cambridge, 1894.
The Book of the Dead, British Museum, London, 1895.: 『死者之書』上下巻、田中達訳、世界聖典全集刊行会、大正九年。
The Egyptian Magic, Kegan Paul, London, 1899.
The Gods of the Egyptians, or Studies in Egyptian Mythology. 2 vols. Methuen, London, 1904.
By Nile and Tigris, John Murray, London, 1920.
参考文献


目次に戻る