The Green Sheaf no.1 total 8pp. 225mm*295mm

表紙裏表紙を含めて全八頁というささやかな刊行物であり、創刊準備号という趣である。"sheaf"とは麦穂の束の意であり、転じて書類等を束ねたものを指す。中央の紙の束は全13冊共通のデザインだが、すべてコールマン・スミスの手彩色になるものであるため、各号ごとに微妙に色合いが異なる。1号、2号は同じ緑色でも濃淡を用いているが、後発の号となると一色のべた塗りとなっている。


2頁中央のイラスト。E.M.の組み合わせ文字から判断するに作者は E. Monsell と思われる。彩色はコールマン・スミス。E..モンセルの来歴は不詳であるが、おそらく同姓のイラストレーターJ.R.モンセルの兄弟縁者であろう。


レディー・グレゴリーによるアイルランド農民詩の翻訳にコールマン・スミスがつけたイラスト。


Alix Egertonの詩 A Song of the Pyrenees についているイラスト。作者の確認にいまひとつ自信がもてないため不詳としておく。彩色がコールマン・スミスである点は間違いないであろう。

セシル・フレンチ(1879−1953)の The Parting of the Ways につけられたフレンチのイラスト。見てのとおりの薔薇十字であり、すでに黄金の夜明け団に参入していたコールマン・スミスを意識したものであろうか。彩色はコールマン・スミスと思われる。

 フレンチはダブリン生まれの画家にして詩人、若くしてロイヤル・アカデミーに学び、20世紀初頭には個展も開いていた。その後は絵画も詩も余技としたらしく、これといった作品を残さなかった。むしろ1次大戦後の美術界にあって凋落の一途をたどっていたラファエロ前派の絵画を収集し、その保全につとめたパトロンとしての評価が高い。

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