タロット評 


The Classic Golden Dawn Tarot

An Historic Deck in Black and White

For Those Who Wish to Color Their Own

D and S Publishing, 2004.

Limited First Edition.

 『ザ・クラシック・ゴールデン・ドーン・タロット』(以下CGDT)は著作権マークが2004年、実際の発表は2005年に行われている。作者はRichard Dudschus と David Sledzinski、1200部限定。最大の特徴は購入者が自分で着色するモノクロ版という点であろう。

「魔術師と愚者」

 ゆえに採用された紙はコーティングなしの上質厚紙である。絵の具の乗りや吸水性はいまだ確かめていない。このタロットはサイズも大きい。縦はほぼ官製はがきと同寸、横は1センチほど短い。白い箱から取り出してみるとずしりと重い。78の大小アルカナに加えて生命の樹カード、大アルカナ配属表カード、コートカード称号表カード、箱表面と同デザインのカード、さらに限定ナンバーと製作者の署名が入ったカードと、五枚のエクストラがある。カード裏面のデザインはTの書にあるアンククロス。ブックレットは入っておらず、サイトよりPDFファイルでダウンロードせよとのこと。








限定番号署名カード(評者の番号は196)
および裏面デザイン

 そもそもこのタロットに「クラシック」という大仰な言葉が冠せられる所以は、原型となったデッキがニュージーランドのウォーレ・ラー・テンプルに伝わったフェルキン・デッキであり、それにパット・ザレウスキーとダーシー・クンツの助言が加わり、コートカードはウェストコット・ノートのそれに準じているからである。さらにPDF形式の解説にはフロレンス・ファーの四色階表が収められている。貴重な資料がふんだんに用いられているといえよう。

 CGDTには意外な遊び心も入っている。Vハイエロファントの顔はウェストコットであり、手にはイシス・ウラニアの設立許可証を持っている。細かく検討してみれば、他の有名団員も描かれているかもしれない。








剣の騎士、剣の3

 正直いってこのタロットで実占を行う人は少ないと思う。いざ着色と思い立ってもなかなか手が動かないのではないか。評者は大アルカナをスキャンしてフォトショップ上で着色している。

 総評としては、およそGDに興味がある人間は購入して損はない。評者は Tarot Garden より購入している。


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