『ソヤ豆、或いは人道主義者たちへのお願い』
ヴァイオレット・M・ファース著
C.W.ダニエル社刊
定価1シリング


ソヤ豆すなわち大豆はマメ科の植物であり、中国と満州で大いに繁茂している。栄養価の高い食物として、東洋では大いに認められている。

ミス・ヴァイオレット・ファースは真の人道主義的見地から大豆に素晴らしい可能性を見出している。すなわち科学的実験によって、大豆が牛乳の代替品となることが十二分に証明されているからである。ミス・ファースは世間一般の菜食主義者たちに訴えかける。日頃の食事になんらかの動物由来の製品が含まれているならば、菜食主義の信条に則っているといえるのか。そして「酪農を知る人間であれば、牛乳生産には食肉生産よりもひどい虐待が含まれることを否定できない」のだ。

さらにいえば、この衛生酪農の時代にあってすら、牛の乳を人間の食用に供する場合、ある種人体への深刻な影響が不可避である点は指摘を待つまでもないのである。などなど、あれこれと考慮に入れていけば、とどのつまり人道主義こそ正直と同じく最良の策となる。

ミス・ファースは熱心な提唱者ではあるが、決してヒステリックではない。常識的かつ明快に論を展開し、また当然投げかけられるであろう反対意見をまえもって洞察している。善意と理想を有する実業家たちであれば、彼女の議論を吟味し、賛同するものと思われる。この小冊子は大いに広く読まれてしかるべきであろう。 評者 GMH




1926年、ポピュラー・オカルティストとしてのダイアン・フォーチュンが方向性を模索していた時期、アンナ・キングスフォードの活動を引き継ごうとしていた形跡が見られる。上にあげた大豆ダイエットも「動物虐待の観点から乳製品の代替物を提唱する」というものであろう。さらに1926年2月号には以下の広告が掲載されていた。「エソテリック・クリスチャニティー」はアンナ・キングスフォードが好んで用いた言葉である。講演が行われた「エシカル・チャーチ」は神智学協会ベイズウォーター・ロッジの別看板といってよい。




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