タロット聖人伝

アレクサンドリアの聖カタリナ

 四世紀頃の聖女。貴族の娘に生まれるもキリスト教の信仰に目覚め、「キリストの花嫁」として純潔の誓いを立てる。のちに皇帝にみそめられるが、信仰をたてに頑として聞き入れず、説得にあたった五十人の哲学者を逆に論破する。ついに車裂きの拷問にかけられるが、車輪が砕け散る等の奇跡が起きる。最終的には斬首にされ殉教。

 ただしカタリナ伝は九世紀頃の創作とされており、文献的に証明されるものではない。

 左はフラ・アンジェリコの『聖母戴冠』に描かれたカタリナ。持ち物は拷問用の車輪であるが、作画上はかなりの融通がきく。


マルセイユ版の運命の輪

 本来であればフォルチュナが車輪を回すのであるが、すでに女神像はカットされてしまっている。車輪上の人物もネズミや猿の類であり、これでは運命の変遷というよりも動物サーカスの一場面であろう。リスのゲージのなかにあるわっかの類を思い起こさせる。


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