『1941年トート・タロット展示会カタログ』

The Catalogue of the Exhibition of Occult and Alchemical Design for the Cards of the Tarot of the Egyptians

 1941年春、クロウリーの指導の下でトート・タロットをおおむね完成させたレディー・フリーダ・ハリスはオクスフォードの某画廊にて展示会を催すことにした。そのために発注したのが右のカタログである。表紙には初期の「魔術師」が描かれ、内容はまえがき2ページ、カードの解説が17ページというあっさりしたもので、全編を通じてクロウリーのクの字も出てこない。ちなみにこの展示会とカタログはクロウリーの機嫌を損ねるところ大であった。フリーダ・ハリスは「カタログ表紙をサン・エングレイヴィング社に作らせました。魔術師を正確な寸法で見事に再現印刷してくれそうです」1とご満悦だが、クロウリーのほうは「こともあろうに奇術師、どうせやり直さねばならないし、表紙にはまったく向いてないカードを大枚はたいて印刷したため、印字と紙質が安物になっている」2と怒り心頭の体であった。

 この展示会は戦局悪化のために会場変更を余儀なくされ、とりあえず小規模に終ったようである。1942年にはやはりフリーダの主導で展示会が行われている。

 差し替えとなる魔術師に関しては、カタログ内にて

"The Magician or Juggler. Mercury, who is Wisdom, Will and Word, by whom the world is created, symbolyses the fluidic basis of all transmission of activity. Behind him and through him is the Ape, Hanuman, which is a Hindu conception. The Egyptian conterpart, Thoth, is also always followed by the Cynocephalus Ape"

と説明されている。


1 Lon Milo DuQuette, Understanding Aleister Crowley's Thoth Tarot (York Beach, ME; Weiser, 2003). p.99.
2 Richard Kaczynski, Perdurabo (Temple, AZ: New Falcon, 2002), p.423.

 




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