☆ 放浪者タロットの女教皇は、流しの占い師です。当たり外れが明らかになる前に、次の村へと旅立ちます。

 女の色香を最大限に利用して、ばかな男をたぶらかします。手相を拝見といいながら、そっと体を寄せ、あちこち柔らかい部分を押しつけて。あほな男が鼻の下を伸ばしていると、財布を抜かれ、指輪を抜かれるていたらく。


 そもそも中世の道徳分類において、占いの類は微妙なところで悪徳とされております。

 リドゲイトの『神々の集い』(1450年頃)というファンタジーがありまして、簡単にいうと天上世界で悪徳と美徳の抗争が勃発、その顛末を描いているのです。美徳陣営の大将格である「知識」のもとには、各種の占いが馳せ参じます。しかし総大将の美徳から参加を拒否されてしまい、しかたなく悪徳陣営に入るのであります。

 ただし、占星術は一応の科学として認められております。中世の大聖堂には占星術記号を装飾に用いる例も多かったのです。ストラスブール大聖堂が有名ですな。

 ま、ぶっちゃけた話、占いを隠れ蓑にした売春が古来より存在したのであり、そのルーツはカルデアの神殿娼婦にまで至るとされるのであります。

 下の絵はカラヴァッジョが描く女占い師(1598年頃)。誘惑するように男の目を覗き込みながら、手先のほうは指輪抜き取り作業に従事中です。




カードの意味 : 占い、予言、予測、予知、推論、推量、あてずっぽう、口から出まかせ、言いたい放題、あとは野となれ山となれ。

カードの意味 : 誘惑、魅惑、色仕掛け。

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