☆ 放浪者タロットの「吊られた男」は「空中ブランコ」です。

 まさに軽業。たねも仕掛けもないわけで、敏捷と強靭を武器に体ひとつで観客を魅了するのであります。

 まさに命がけです。

 


 芸能のなかに「苦行系」と分類される方面があります。インドでは現在でも「苦行者」が釘のベッドで昼寝したり、ガラス片を食べたりしています。日本国では千日回峰行があり、電撃ネットワークがいます。ありがたや、ありがたやということでお布施が集まります。

 苦行系が放浪するのも妙な話ですから、だいたいかれらは定着定住することが多い。苦行系芸人の定住地はやがて「聖地」と称されるようになり、観光客が集まるようになるのです。

 この種の苦行のなかに「逆さ吊り」があるわけで、そのうち「ただ逆さ吊りになってるだけでは芸がない」ということで、体を前後に振ったり揺らしたりするようになり、終いには枝から枝へ飛び移るようになった、と思われるのですな。「空中ブランコ」になってしまえば、今度は「飽きられる」という事態も生じるわけで、すなわち「放浪」に至るのであります。

 越後獅子は一度見ればよいわけで。



カードの意味 : 犠牲、懲罰、損失。苦難。

カードの意味 : 軽業、体術、驚異の腹筋。背筋。

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