Temperance 節制

I hear a Voice -- a gentle Voice,
Bidding me hope, look up, rejoice --
Within my Soul and, with it, Rest
Doth enter and sweet Peace the Blest.
While all around is stress and strom
Across the gloom I see a form,
Gracious and beautiful and calm,
Outpouring oil and tender balm
Upon my restless Soul's wild waves,
And thus a glittering pathway paves
Whereon our Spirit moves, sublime,
Beyond the range of space and time.

われは声を聞く −−やさしい声を
われに希望を持て、まなざしをあげよ、よろこべと命ずる声を
わが魂のなか、魂とともに、安息が
入りこみ、祝福された甘き平穏が訪れる。
周囲はすべて重圧と喧騒であっても
暗鬱のなかにわれは姿を見る。
美にして優雅、沈着なるそれは
わが乱れたる魂の荒波に
香りたつ油を注ぐ。
されば水面に輝く道が敷かれ
われらの魂はそのうえを
時空を超えて精妙に動く。

 「節制」図は本来、「強い酒に水を加えて薄める」姿となるのだが、ホートン作品中にそう都合よく伝統的な図柄が転がっているわけもなく、ともかくも水瓶を持つこの図が第一候補となる。ホートンのそれは「荒海に油を注いで波を鎮める」の意であり、当たらずといえども遠からずといえようか。

 そもそもキリスト教世界における「節制」 Temperance はいかなる意味を持つのか。聖パウロが「コリント人への第一の手紙」にいわく、Deus temperavit corpus 「神はからだに調和を与えた」とある。これを典拠として「調和」、「中和」の意と見ることが主流であったとのこと。

 キリスト教の枢要徳は「節制」、「正義」、「剛毅」、「深慮」であり、タロットにおいて「深慮」が欠落する点が長らく議論の的となっている。これに関してはまた別項を設けて詳述したく思う。

 



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