The Moon 月

I know that over there,
Behind the crescent moon,
There waits for me, somewhere,
One I shall meet full soon.

われは知る、あのかなた
三日月の向こうのどこかに
われを待つ人あり
すぐに出会うべきだれかが



この一枚はいまだアルカヌムとしての採用が決定しておらず、差し替えの可能性も大きいと言っておく。一見して「月」とわかるデザインはよいのだが、他の部分があまりに陳腐というか、もう少しどうにかならなかったのかと思ってしまう。本稿はホートンのイラストをタロット化して紹介するのが目的であって、破壊的批評を行うつもりはない。しかし小生にしてクロウリーがこの絵に対して言い放った一言「多分、幼い妹にボール紙から切り抜いてもらった月」に同意してしまう部分があるのだ。

 『魂の道』よりの採用である。断崖の一本道、突端に佇立する一本の樹木、道行く旅人、三日月、夜空。添えられた詩句はいかにもという内容で、どこかでだれかがぼくを待っているわけである。峨々たる高峰を歩む恋の巡礼というのはホートンお得意のモチーフであり、あらゆる場所に顔を出す。もっとも有名なものは1898年発表の『イメージの書』の表紙にも使われた一枚であろうか。そちらをアルカヌムとして採用してもよかったのだが、やや月が小さくてデザイン的インパクトに欠けると判断した。むしろ月の札に関しては、別のイラストの空を塗りつぶし、しかるのちに円ないし三日月の白抜きをしたほうがさまになるかもしれない。

 それなら、ということで早速一枚、コラージュしてみた。元絵は1898年の『サヴォイ』誌に発表されたもので、キーツの『エンディミオン』につけられたイラストである。小生が行ったのは別レイヤーで月を加え、若干星の数を増やしたくらいである。

夜、草むらに横たわる美青年、それを天上より眺める月という、これまたわかりやすい一枚といえようか。



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