The World 世界

from A Book of Images, titled "Assumption".

 「ホートン氏は覚醒夢に神の道を見出すという“新生兄弟会”の弟子であり、かれ自身独自の覚醒夢を持っている。わたしのそれよりもずっと詳細かつ鮮烈な夢だ。その夢を氏は絵画に写し取る。まるでなにかこの世ものならぬマスターたちの命令で、夢がかれのためにモデルとしてポーズをとっているかのようだ。氏は現代神秘主義のなかでもっとも中世的な運動の信奉者であるため、中世ドイツの街並みや中世ロマンスのお城を嬉々として描いてきた。またときに、“すべての波が自分を超えてゆく”のような、中世の奇跡劇や道徳劇に見られる敬虔とユーモアの作品も描いている。いつも面白いのは彼自身の信仰の中核シンボルを描くときである。それは“ローザ・ミスティカ”と“昇天”に見られる女性像すなわち神的女性であり、また“聖ジョージ”や“強くあれ”に見られる神的男性である。氏の本領は三博士を描く際に発揮される。世界の叡智たる博士たちは、神的男女の統一たるキリストをまえに香炉を掲げる…」

 とまあ、イエイツがホートンの処女作『イメージの書』に寄せた解説文が続くのである。のちにイエイツはこの文章をエッセイ集に収録したのだが、ホートンに言及した部分はカットしてしまった。これをめぐって詩人と画家の仲はぎくしゃくしていくのだが、それはあとの話。

 小生がホートン・タロットの「世界」として選んだのは、ローザ・ミスティカの被昇天戴冠図である。マルセイユ版の「世界」はマグダラの被昇天図を描いたものである、とするのが持論であるため、ホートン・タロットでも基本路線は変えようがない。

 世界図として使えそうなホートン作品は結構多いのである。差し替えも大いにありうると言っておこう。なお、上に出したジェイペグでは細部の描写は潰れざるをえない。冠や衣に施された細かい装飾にも見るべきものは多いのである。このあたりは大判のリリースをお待ちいただきたい。



BACK