アルカナXIII

文字 Mataloth (M) -- 数字 40

大鎌 : 変成


 M−40は神界にあっては創造、破壊、再生という恒久運動をあらわす。知識界にあっては神聖天球への霊の上昇をあらわす。物理界にあっては死亡すなわち有機的限界に達した人間の変成をあらわす。

 アルカナXIIIは草場にて人間の頭を刈る骸骨の姿であらわされる。大鎌がその恐るべき作業を遂行するため、周囲のあらゆる場所に人間の手足がころがっている。時の領域内にあってあらゆる存在が経験する恒久的破壊と再生の紋章である。

 大地の息子よ、心に刻むがよい。地上のものは儚く、至上の者といえども草の如く刈り取られる。そなたの可視的肉は想像するよりずっと早くほどけてしまうであろう。されど死を恐れるなかれ。死は別の生への誕生にほかならぬのだ。宇宙はつねにいまだ霊化されざるものを自らとりこんでやまない。されど宇宙の運動法則に魂を委ね、動物的本能を解放するならば、われらは自らのうちに第二の人間すなわち天上の人間を創造することになろう。それこそがわれらの不滅の始まりなのだ。

‐‐ ポール・クリスチャン 『魔術の歴史と実践』(1871)

参考


エリファス・レヴィ 「人間が生える牧場にて王冠をかぶる首を刈る死神」-- 『高等魔術の教理と儀式』 (1855)


パピュス 「骸骨が野原で首を刈る。鎌が振るわれるたび、手足があたりに散らばる」 -- 『ボヘミアンのタロット』 (1889)


ウェストコット 「第十三のタロット・トランプは死と名付けられており、大鎌で草を刈る骸骨の姿であらわされる。野原には遺体がある。」 -- 『サンクタム・レグナム』 (1896)


ウェイト 「生命のヴェイルないし仮面は変化、変成、低次から高次への移行のなかに恒久化されるのであり、この象徴としては草刈り骸骨という粗雑な概念などふさわしいものではなく、むしろ黙示録のヴィジョンのひとつを用いる改訂版タロットによって適正に表現されるのである。」 -- 『タロット図解』 (1911)



解説 : 「死」のデザインは昔から変化がない。ウェイトの騎士とて、中世から存在するヴァリエーションのひとつである。



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