WORKS IN NIELLO, UPON SILVER


1
接吻台中央画。実寸約220*230mm。
幼い救世主を膝上に乗せて座す聖母像。両脇に百合を持つ天使。下に聖カタリナ、聖ルチアその他の聖女。オリジナルでは、各人物像の頭の光輪や衣の縁、天使の翼に金箔が貼られていたと思われる。この作品はマソ・フィニグエラの真作と見なされており、豪奢な彫刻とエナメル細工を施した分厚い銀製のフレームにはめ込まれている。フレーム底部にG.R.という文字が刻まれており、おそらく注文主の頭文字であろう。このきわめて興味深い逸品は、故サー・M.M.サイクス準男爵の売り立て(ロット1244)の際にウッドバーン氏が315ポンドにて購入している。

2
石棺のなかで聖母とマグダラのマリアに支えられるキリストの遺骸。実寸55*83mm。
底部円内に P.(pro) VITA POPULI PASSUS SUM.


3
円内の優雅な聖女の全身像。
実寸直径50mm。
手に殉教を表す棕櫚を持つ。
4 聖母半身像。実寸直径50mm。
卓上に祝福の合図をする幼子イエス。以下、円内図が続く。
5 聖誕図。実寸直径50mm。
右手に羊飼いのもとに出現する天使。手にする巻物には GLORIA IN. EXCELSIS &C と記されている。オリジナルは空に金箔が貼ってある。

6 聖母子坐像。実寸50mm。
聖母の右側に預言者ダニエル、左側に聖マルガレータ。

7 聖ヒエロニムス跪拝図。実寸50mm。
右手で胸元をはだけ、左手で石を持ち、改悛の証として自らを打擲している。オリジナルの背景は金箔貼り。
8 石棺のなかで聖母とマグダラのマリアに支えられるキリストの遺骸。実寸50mm。
墓石に HUMANI, GENERIS, REDEMTOR の刻印。
9 受胎告知図。実寸50mm。
オリジナルの背景は金箔貼り。
*右端の傷は当館所有の図版固有のもの。
10 聖母に抱えられるキリストの遺骸。実寸50mm。
背後に3基の十字架。底部に盾紋様とB.E.の頭文字。おそらくこの作品を仕上げた人物のものと思われる。オリジナルの背景は金箔貼り。
11 有翼女性坐像。実寸40mm。
この人物像の意味するところはいまひとつ不確かである。おそらく「節制」の擬人化であろう。オリジナルでは、翼、衣の縁、頭の光輪が金箔張りになっている。
12 聖女立像。実寸50mm。
聖女の左側に聖ラウレンティス、右側はおそらくパデュアの聖アントニウス。頭上の巻物には FIDES. TUA. SALVAM. FECIT. の刻印。オリジナルの背景は金箔貼り。L.I. の頭文字。
13 聖母半身像。実寸50mm。
幼い救世主が立って抱きついている。オリジナルの背景は金箔貼り。
14 図版三点。上段3点中段4点下段6点。。各小円の実寸直径ほぼ10mm。
小円象眼による聖人半身像13点。
15 図版2点。上段7点下段6点。各小円の実寸直径ほぼ10mm。
同様の図版13点。
16 図版二点。

最初の図版は小さな銀製三角容器の三面であり、おそらくボドキンあるいは針といった女性用の道具を入れるためのものであったと思われる。この道具は全面にニエロが施されている。一面には糸を紡ぐかわいい女性像が描かれており、口からラベルが飛び出している。おそらく彼女の職業に関係する文言が記されているらしいが、十分に解読できない。

次の図版は小さなナイフないしフォークの柄の両面を表しており、象眼でアラベスクとグロテスクが施されている。

以上すべてのニエロは故サー・マスターマン・サイクスのコレクションから出たものであり、売り立ての際に現在の所有者サミュエル・ウッドバーン氏が購入している。



図版 1-16 図版 17-19 図版 20-26 図版 27-42 図版 43-89 図版 90-104 図版 105-117


希少初期版画集トップページへ戻る